教材の考え方

 

東京日本語センターの教材は全てオリジナルです。

どうして市販の教科書を使わないのか。それは何よりも教育効果を大切にしているからです。

確かに市販の教科書を使うと楽です。また学生も安心します。あの大学の別科でも使っている、あの日本語学校でも使っている、と。

しかしその教科書はいつ作られたのでしょうか。またその教科書の例文は、本当に学生に分かり易い例文でしょうか。ドリルは効果がありますか。

東京日本語センターの教科書やドリルなどは、毎学期改訂しています。そして印刷しています。つまり手間がかかっています。そしてその改訂をするのは先生です。

教科書には日本語能力試験や日本留学試験に出された文、表現文型、語彙や場面設定が反映されています。つまり試験に出された文が例文として教科書に使われ、また試験に出た表現文型や語彙が使われているのです。

そして教えていて学生に説明しにくい例文、学生が間違った理解をする例文は常に見直され、分かりやすい例文が選ばれています。

さらに中間・期末の試験でよく間違える所、反対に全ての学生がよく出来ている所などをデータとして記録し、そのデータをもとに教科書を毎学期改訂しています。間違えの多いところはより分かりやすく、いろいろな例文を出して、また間違いの少ないところは扱いを軽くして効率を高める。そうした改訂を毎学期、しています。

もちろん進度も「シラバス」として1時間ごとに管理しています。

その学期にどこまで進むかは、学生の力と先生の気分、そんなことではいつになったら1級に受かるんだろう、と心配になります。

着実な進歩は、何よりも効果をあげられる教科書などの教材から。

そして進度管理と、その進度中に何度か設定された時期での目的達成度評価から。

それが東京日本語センターの考え方です。

初級の教材(J4)

 

J4は4級に合格し、3級の基礎の力を付けるレベルです。

 

ここでは主に「日本語の音に慣れる」「日本語の基礎を学ぶ」「日常使う語彙を習得する」ことを目

的にします。

 

そのために教科書には写真がふんだんに使われていま

す。もちろん全ページカラーです。

そして教室ではプロジェクターを使って言葉を反射的に言えるよう反復練習をします。

例えばチョコレートの写真を見て「チョコレート」「これはチョコレートです。」と言えるように

練習をします。その上で、「これはチョコレートですか、アイスクリームですか。」「それはチョコレートです。」

という質問から始まる4つの質問と答え(4Q)を練習します。学生同士で質問と答えが自由に言えるように練習します。

この名詞文が出来ると、次は動詞文。

「チョコレートを食べますか、アイスクリームを食べますか。」

形容詞文

「チョコレートは甘いですか、辛いですか。」

この段階で文字だけでの練習では、どうしても対訳になってしまいます。

それでは会話はいつまでたってもできません。

日本語脳を、つまり日本語をダイレクトに理解できる脳を作ることが必要です。

 

 

この課は、「人が所にいます。」を勉強します。

そして写真は長南先生が教室にいるところです。

このように実際に学生が体験する場面が教科書に出てきます。

それにより、自然に日本語が出てくるようにします。

 

学校の窓から見える東京タワーを見て、「あっ、東京タワーだ。」「高いなあ」「きれいだなあ」

「今日は晴れているから良く見えるよ、昨日は雨だったからてっぺんはかすんでいたけど」

「あれ、今日のタワーはライティングがいつもと違うなあ」「どうしてだろう」

こんな独り言が日本語で出てくれば、あなたは日本人と自然な会話ができます。

 

初中級の教材(J3)

J3は3級合格を目指し、またさまざまな場面での言い方を学びます。

J3の学習のメインは「助動詞」。

助動詞とは動詞とつながってその表現を拡げる役割を持っています。

例えば「薬を飲ます」という動詞文に義務の表現を加える「なければなりません

を付けると、「薬を飲なければなりません。

となります。この時に注意するのは「飲み」が「飲ま」に活用していることです。

このような動詞の活用のルールと、助動詞を学ぶのがJ3です。

そのための教材は、まず50音表。「あいうえお」の表です。

50音表というと、あいうえおを覚えるためのもの、と思いがちですが

実はこの50音表は動詞の活用を示す表なんです。

東京日本語センターの学生は、全員、このルールを示した50音表を持っています。

また教室にもそれが拡大されて貼ってあります。

中級の教材(J2B)

J2の目標は、2級の語彙を、これまで習ってきた助動詞の入った文を読みながら

獲得していくことです。

それと同時に文を読む力、理解する力を身につけます。

つまり「読解」です。

これまでの「読み物」は、身近な話題が中心でしたが、

このレベルの「読解」は、新しい知識を理解する、という練習です。

読解は、初めから一つ一つ語を読んでいく、という練習をしても

意味がありません。

まず「が」と「は」に着目する。それによりキーワードが分かります。

次に述語。これで文の構成が理解できます。

このように読解とは、あるルールに従った読み方を訓練することです。

逐語訳をしているようでは、いつまでたっても「読める」に到達できません。

 

さらにこのレベルから「聴解」といった分野別の練習も入ってきます。

確かにJ4でもJ3でも「話す」「聞く」という練習はしてきました。

しかし一方的に聞く中で必要な情報を聞き取る、という練習はしていません。

ですからいきなり「テープを聞いて正しい答えを選びましょう」

という練習はしません。

段階的に、聞く力をつけていきます。

 

またJ3で始まった漢字も続けて少しずつ勉強していきます。

上級(初)の教材(J2A)

いよいよ基礎的な日本語力が身につき、上級段階に進む段階です。

J2Bから練習を始めた「読解」

ここでは段落ごとの「小題」を、キーワードから付ける練習から

始めます。

小題が付いたら、その小題が次の小題にどのようにつながっているかを考え、接続詞を入れます。

これでおおよその文章の構成が理解できます。

そして文章の要約。さらに主題を考え、より簡潔な要約をします。

読解力の弱い学生は、どうしても「はじめにこうで、次にこうなって、最後に

こうなった」

というように全体をなんとなくしか理解できません。

これでは作者の言いたかったことは何か、一番いいたいこと、主張したいことは何か

ということが理解できません。

正しい練習方法で、効果的に「読解力」を身につけましょう。

 

さらにこのレベルでは表現文型、語彙の仕上げをします。

 

もちろん「聴解」「スピーチ」「記述」の力も身につけます。

上級(中)と上級の教材 (J1BとJ1A)

このレベルでは「日本語で」さまざまな活動をするための「日本語力」が付いているかを見極めていきます。

前のレベルで練習を始めた要約について、さらに練習を進めます。

また速読できる力を養います。

逐語理解では、この上のクラスには進めません。

また要約の力がなければ、長い文章を理解していくことができません。

上級(A)に進む準備。頑張りましょう。

上級の教材(AⅠ-AⅢ)

これまでのレベルはJが初めに付いていました。

その意味は「日本語を」学ぶレベルという意味です。

しかしここからのレベルは「日本語で」学ぶ方法、「日本語で」調べる方法、「日本語で」発表する方法、

つまり「日本語で」大学で学んだり、仕事をしたりする力を養うレベルです。

スポーツでも勉強でも、いきなりできるようになるはずがありません。

あるレベルに到達するためには、基礎的な練習から始めて段階的に目標に近づくことが必要です。

そのためには到達目標を立て、何度も繰り返し練習をしながら技術を磨く必要があります。

その基礎的な練習をしてきた結果、ようやくこのレベルに達しました。